観光振興研究クラスターsightseeing


「サービス工学」の観点から、千歳市の観光事業の問題点や改善点を分析するVRなどのデジタルコンテンツを使用した取り組み

教授・博士(工学)曽我 聡起

■専門分野コミュニケーション情報学、メディアデザイン学、サービスサイエンス、教育工学

■岩手大学工学部金属工学科卒業

■室蘭工業大学大学院工学研究科生産情報システム工学専攻博士後期課程修了

千歳市の自然や文化に関する観光資源の調査・観光ルートの制作
人間工学を用いて、トラベラーのための有益な情報提供のあり方を模索

「サービスサイエンス=サービス工学」という、これまでは経験や勘に頼っていた生産性を、科学的に考察して発展させていこうという流れが今世紀に入って加速していますが、千歳科学技術大学理工学部の立場から、様々なコンテンツを生み出す取り組みを行っています。
千歳市は観光事業の振興に力を入れている都市の一つですが、企業や大学、千歳市が垣根を払って情報共有を行いながら問題点を探っていき、課題点や各分野でのアイディアも共有できるシステム作りに取り組んでいます。
 
現在新たに取り組んでいるものの中に「デジタルブック」というものがありまして、私の専門領域でもあるデジタルブックとVRの技術の融合を行い、2018年は3編ほど制作を終えて、市民向けに報告会も開催しております。
支笏湖のビジターセンターと千歳科学技術大学が共同で制作した上記の一例ですが、支笏湖に山線鉄橋という赤い鉄橋がありまして、当時稼働していた鉄道の様子を模型で表したジオラマを学生たちがVRのデジタルブックに反映させて、実際に模型の中に入り込んだような疑似体験ができる試みを行っています。そういったユーザー体験がサービスサイエンスとして、観光の中に取り込めないかといった模索を行っています。実際にこの体験をされたユーザーのアンケート結果を、報告書として協力いただいた方々にフィードバックしつつ、模索を続けているのが現状の活動です。
 
別の案件では、顧客体験として実施した水族館のデータ収集に興味深い結果があります。通常行うアンケートスタイルの聞き取りでは掘り下げられない領域があるのではないか、という仮説をたて、スマホを使って様々な情報を収集し専門家が分析するツールの開発を行いました。
アンケート形式での情報収集で一番のネックは、サービス提供者が想定する範囲内でしか項目を作成できないというところにあります。想定外の中に大きなヒントがあるのではないか。その部分をスマホアプリを利用して、水族館の中で体感したものを詳細にマップ化=吸い取っていくことができないかということで、細かいエリアまでユーザーが体感したことを評価したものをデータ化することができました。それによりユーザーがどのように、どの場所でどう感じたかを細かく分析することが可能になります。
たとえネガティブな評価を表したとしても、実際に細かい評価結果が抽出できていれば、見せ方などを改善することでもっと別の角度から見て高評価する人が増える可能性を模索することもできます。
 
今後の活動としては、もう少し調査や分析のためのマンパワーを増やして取り組めるよう色々な業種やサービスに応用できる素材と、詳細な分析結果の収集を進めていきたいと思います。
 

千歳の観光資源をより多くの方に利用いただくための改善提案

千歳市で大きな観光資源として存在しているのが支笏湖です。美しいカルデラ湖としてインバウンドでも訪れる人が多い人気スポットですが、一番大きな課題としてあげられるのがアクセスの不便です。車がなければ支笏湖に行く交通手段が路線バスしかなく、時間帯にもよりますが1時間で数本の運行に限られ、バスの時刻に合わせての移動になりがちになってしまいます。
また、バス料金システムが統一されていないため、キャリーバッグ持参の方が多い外国人観光客にとっては、不慣れな環境も相まって、来訪・アクセスのハードルが高くなり、改善する施策が必要な状況となっています。
そこで観光振興研究クラスターが数年前に始めたものとして、バスロケーションシステム活用がありますが、ICカードを利用してバス料金を支払うことができれば支払いのシステムも万人にわかりやすくなりますし、障がい者のためのユニバーサルデザインの取り組みなど、その他にも多岐に渡る部分でアイディアの実用化が求められており、もっと情報共有できる企業様との関係性の強化が重要になります。
 

Smart Nature City ちとせ構想の活用(他のクラスターと表現を統一しています)

千歳科学技術大学が現在取り組んでいることにICTがあります。それは情報通信技術のことを指し、インターネット上でさまざまな形状のコンピュータを使ってコミュニケーションとしての手軽な情報の伝達、共有が行える環境を行える技術開発です。
 
公立千歳科学技術大学では“豊かな自然がもたらす生態系サービス”(水・緑・温泉)を生かした“持続可能なまちづくり”に向けて、ものづくり、観光、資源・エネルギー開発、環境保全、福祉・医療、インフラ整備、教育、コミュニティなどに、ICT科学技術を活用しようという、『Smart Nature City ちとせ』というプロジェクトを提唱しています。
自然環境との共生を可能にする、持続可能な循環型地域としての構想を実現・展開し、環境、経済、社会の統合的向上による自律的好循環を目指した地域創生へと繋げていく試みです。技術は良くとも商品としての市場価値を生み出せない技術者と、アイディアはあるけれども技術がない、そんな深い谷間を埋めていけるようなコミュニケーションの場は今後ますます重要になるかと思います。
 
一歩ずつでも千歳市の産・学・官・金連携の研究を、千歳市を拠点に日本の未来を明るく創造したいと思います。
 

環境クラスターをフル活用して、企業や市民が関わりを持つことができる「オープンサイエンスパーク」の開催

観光振興研究クラスターでは、いつでも市民目線を大切に、市民の日常生活において不便さや改善してほしい事など、市民の皆様と一緒になって改善してゆく研究活動を活発化させています。千歳科学技術大学での取り組みの一つに、私たち教授陣も海外で開催される様々な学会にも積極的に参加しており、世界の様々な都市とのネットワークを利用して、千歳にも暮らしの上での新しいアイディア等、情報共有をしながらおもしろい発見をすることが可能です。2019年度より、千歳技術大学が公立化されることとなり、市民の皆様にもこの大学がどんな活動をしているのか、市内にある施設にて不定期に開催されている「オープンサイエンスパーク」への参加を機に、たくさんの知的好奇心の旺盛な方々とお会いして、有意義なディスカッションを行いたいと思っています。


新しい光技術の実用化に向けて、当研究クラスターと手を取り合い、共に研究開発を行って頂ける企業様、また、関心・興味のある企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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