環境光工学研究クラスターlight


「環境にやさしい光技術」をテーマに、LEDによる植物栽培、太陽電池の応用技術を研究中

名誉教授・博士(工学)吉田 淳一

■専門分野光デバイスや光エレクトロニクスの環境、エネルギー、通信、農業などへの応用技術(積雪寒冷地用太陽電池応用技術、植物栽培用LED・LD光源など)

■慶應義塾大学工学部電気工学科卒業

■慶應義塾大学大学院理工学研究科学位(博士)取得

■所属学会 応用物理学会、電子情報通信学会、植物工場学会、IEEE

省エネ・健康志向・おいしさをキーワードに
LEDで植物を栽培、自然エネルギーとの組合せも研究中

人工的な光であるLEDを使えば、天候や季節に左右されず建物の中でも植物を栽培できます。LEDは発熱が極めて少ないので、栽培棚を多段で設置できるため、栽培面積あたりの収率が飛躍的に向上するほか、大都会でも農業ができ地産地消・若者の就農支援などにもプラスになるなど、日本のように耕地面積が小さい国には最適です。この方法は、雪の時期が長い北海道をはじめ世界中の気象条件が厳しい場所にも向いている栽培方法です。
また、宇宙ステーションなどに大規模な植物工場(※1)を建設するといった、宇宙環境への挑戦をJAXAが研究し始めているということもあり、今後ますます発展の可能性がある分野でもあります。
 
これまで、植物工場はハロゲンランプや蛍光灯が主流でしたが、最近では私たちの研究と同じ低消費電力のLEDが使用されて行います。赤と青の光を上手くコントロールすると、早く育てたり大きく育てたりすることができる他、含まれる栄養等の成分量が変わることがわかっています。緑色の光を加えることで、植物をより健康的に育てることができるなど、3光源のバランスは重要です。赤と青の光源では紫色に見えていた植物が、赤・青・緑だと白い光の中で確認できるようにもなるといったメリットもあります。
 
現在我々の研究室で取り組んでいる植物は「ルッコラ」です。市販の「ベビーリーフ」の中に必ずと言ってほど入っているルッコラは、ゴマのような風味で少し苦味や辛味を持ち、生で食べられる野菜としてサラダなどに多く利用されています。光源の質によって生じる大きさ等の差の他に、ルッコラはビタミンCの含有量が豊富で、その含有量がどのくらい変化するのかを研究するには最適な植物です更に今後は、光と味の関係性の追求も、商品化には重要な研究課題の一つと考えています。
 
低消費電力のLEDでも栽培には多くの数が必要で、総消費電力の削減は地球環境問題と植物工場コストの面から重要な課題です。クリーンエネルギーの有効活用の観点から、太陽光発電や風力発電の併用、バイオマスエネルギー・工場排熱や廃ガスの利用などを含むトータルエネルギーサイクルシステムの実現が必要不可欠と考えて、新たな研究も始めています。
自然エネルギーの一つである太陽光発電について、従来の太陽電池は片面のみで光を受けていましたが、両面受光型を使って地面からの反射を有効に利用しようと、地面に垂直に立てた設備で実験中です。両面受光型の太陽電池は、現在、千歳市内の幼稚園でもフェンスの代わりに使用されています。また、太陽熱を冬季の暖房に利用する実験も試みました。今後は、事務所や工場から排出されるCO2や廃熱のリサイクルも検討課題です。これらの研究は従来の農業と競争するのではなく、共存するものです。将来、成果が多くの人に利用されるという夢を持って研究を進めています。

※1「植物工場」管理された環境で植物を育てる生産設備の名称です。水耕栽培が主で基本的に栽培された植物は洗わずにそのまま食べられます。虫などがつかずムダも少ない特長があります。

北海道を代表する産業のひとつである「農業」に、ITの力を使って千歳から発信する

北海道といえば、美味しい食べ物の宝庫と言われ、日本のみならず海外からの観光客も集まる人気のエリアです。我々の研究している科学的な分野でのLED技術とIT、農業技術と機械技術を結集させて行う多面的な研究も重要なテーマの一つです。IoT技術やアプリ開発によって、様々なデータを一括にまとめてリアルタイムで確認できれば、どんどん生産者の負担の軽減にも役立ってきています。そうした意味では、色々な分野で活用できる我々の研究を農業に活用していく方向性を、千歳から発信できればいいと思っています。北海道の空の玄関であるこの千歳に創立された「千歳科学技術大学」に、科学と農業の融合に関心のある北海道外からも、面白いと思う生徒さんが関心を持って来ていただけると嬉しいです。
将来、成果が多くの人に利用されるという夢を持って研究を進めています。
 

Smart Nature City ちとせ構想の活用(他のクラスターと表現を統一しています)

千歳科学技術大学が現在取り組んでいることにICTがあります。それは情報通信技術のことを指し、コンピュータをコミュニケーション手段として使いさまざまな形状の情報の伝達・共有が行える環境を実現する技術です。
 
公立千歳科学技術大学では“豊かな自然がもたらす生態系サービス”(水・緑・温泉)を生かした“持続可能なまちづくり”に向けて、ものづくり、観光、資源・エネルギー開発、環境保全、福祉・医療、インフラ整備、教育、コミュニティなどに、ICT科学技術を活用しようという、『Smart Nature City ちとせ』というプロジェクトを提唱しています。
自然環境との共生を可能にする、持続可能な循環型地域としての構想を実現・展開し、環境、経済、社会の統合的向上による自律的好循環を目指した地域創生へと繋げていく試みです。技術は良くとも商品としての市場価値を生み出せない技術者と、アイディアはあるけれども技術がない、そんな深い谷間を埋めていけるようなコミュニケーションの場は今後ますます重要になるかと思います。


新しい光技術の実用化に向けて、当研究クラスターと手を取り合い、共に研究開発を行って頂ける企業様、また、関心・興味のある企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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